ろこのかたこと

たまに役者をやる会社員の日常

ひとり暮らしドルヲタ女が中古マンション買ってリノベするまで#11

一介のドルオタ女が中古マンションを購入しリノベするこの連載も、ついに終盤。

今回は竣工確認、そして引き渡しについて書いていく。

 

竣工確認は6月中旬。当初の予定通りに迎えたこの日はあいにくの悪天候で、私は雨ガッパで武装し、とある荷物を抱えて現地へ向かった。

両手でなんとか抱えられるギリギリの大きさの段ボール箱

中身はペンダントランプである。

広告で一目惚れし、少し背伸びして買った、程よいリゾート感のランプ。取り付けが少し手間なので、このタイミングで持ち込めば取り付けてくれるという話になっていた。

 

視界が悪い中をえっちらおっちら歩き、なんとかたどり着いた新居。

同席した営業担当がランプ運びを代わってくれるというので、ありがたく預け、私はいよいよ中へ案内された。

 

その時の動画を自分で撮っていたのだが、最初の数分は

「わーーーーーーーー!」

しか言っていない。

「わーーーー、わぁ、わーーーーうわーーーーーー」

くらいのバリエーションはありつつも、本当にそれしか言えていない。

それくらい感動的だった。

 

まず大正解だったのは、壁紙の色。

うっすらグレーのものを選んだのだが、躯体表しにした天井に馴染み、目に優しく、肩の力を抜いたモダンな印象に仕上がっていた。

それから差し色の緑。

メインの扉やキッチンの腰壁に同じ色を使ってもらった。末長く愛せるおしゃれさである。

 

こだわり抜いたキッチンは壮観だった。住設そのものも良いものを入れただけあって美しかったし、施主支給品のタイルの色合いもぴったり綺麗にはまっていた。

ひとつひとつ、選んだ好きなものたちがうまく組み上がって、予想以上の完成度で立ち現れてくれていた。

 

感激のため息を漏らしながらひとまわりしたあと、今回の本題に入った。

竣工確認では、引渡し前に、傷や設計図と違うところはないかなどの修正点を洗い出していく。

私もシンデレラの継母よろしく、隅々までチェックをしていった。

掠れや、もう少し頑張って欲しい塗装など、重箱の隅を突きまくる。

指摘してよかったなぁと思うのは巾木(床と壁の間に這わせる木材)である。通常の施工だとどうしても浮いてしまっているところがあったので、その隙間をうまく埋めてもらった。それをするのとしないのとでは見栄えが段違いだった。

 

ペンダントランプはというと、とりあえずその日は預けて、引渡しの時に脚立を持参して取り付けることになった。

てっきり職人さんが何かのついでにつけてくれるのかと思っていたら、設計担当が親切でやってくれることのようで、何となく申し訳なく思いつつもありがたかった。

 

そしてついに、引渡しの日を迎えた。

竣工確認で指摘した修正点を全て綺麗に仕上げなおし、正真正銘、私のための新居が手に入る。

 

最悪なことに、この日は前日に酒を飲みすぎて二日酔いだった。(仕事の山を越えたので、ひとり居酒屋で晩酌したのだが調子に乗りすぎた)

会う人みんなに「すみません二日酔いです」と告げては爆笑された。

 

設計担当、営業担当、物件担当が集まって、ピッカピカの新居の雰囲気を堪能する。

竣工確認のあとにカーテンの取り付けもあったので、その仕上がりも確認してまわった。キッチンとクローゼットの間の通路に真っ白なカーテンが揺れており、壁のグレーとのコントラストがなんとも綺麗だった。

 

設備の取扱説明書などの書類や鍵の引渡しと、引き渡し完了のサインを終え、私がアンケートに回答している間、設計担当が中心となってペンダントランプを吊り下げてくれた。

電球を取り付け、オレンジ色の光が灯ると、どよめきが広がった。

ぶっちゃけ最高だった。

少しエキゾチックなテイストなのだが、下手に浮くこともなく、絶妙なインパクトがあって映える。インテリアの主役になってくれること間違いなしだった。

 

こうやって書いてきて自分でも不思議なのだが、内装の色合いはモダンな雰囲気で、素材は木やアイアンでちょっとインダストリアル風、なおかつメインの照明はリゾート系。かなりごった煮にしているのに、まとまりは良いのである。

まさに唯一無二の自分の部屋が完成したように思えた。

設計担当者曰く、リノベの設計をしていると本当にひとつも同じ例がなく、ひとつひとつが違うものに仕上がるから面白い、とのことだった。

そんな彼がお気に入りポイントとして挙げたのは、キッチンの角だった。腰壁とタイルとキッチンの本体の色が集約して見えるそのポイントに、こだわりが詰まっていて好きなのだそうだ。満足そうな横顔。楽しんで仕事をしてくれて私も嬉しかった。

 

ひととおり作業を終えて、記念撮影をした。

その頃にはもうだいぶ回復していたので、浮かれたポーズで何枚か撮った。乗っかってくれるリノベ業者の皆様、愉快すぎる。

そして最後には、お祝いのプレゼントまでいただいてしまった。客の全員に対してここまでしているのかは謎だが、私の好きなコーヒーやお風呂グッズを選んでくださって、心遣いが本当にありがたかった。

 

これまでは工事中の新居に私が訪問して、帰り際は設計担当者が現地に残るというパターンだったが、最後はそれが逆転する。

本格的に持ち主となった私が、リノベ業者の皆様をお見送りするのだ。

何度も感謝を告げながら、玄関口で全員の背中が見えなくなるまで見送った。

ついに、という実感が湧く瞬間だった。

 

一人になった部屋の真ん中で、大の字になり、天井を見上げた。

緊張が途切れて二日酔いのだるさが少し戻ってきていた。

それでも、素晴らしい仕上がりの空間に、気持ちよく酔うことができた。

 

以上が、ひとり暮らしドルヲタ女が中古マンション買ってリノベするまでの流れである。

書き始めた頃は本当に実現するか自分でも半信半疑だったが、思った以上に早くここまで辿り着けたのは、読んでくださる方の反応がモチベーションとなったように思う。

本当にありがとうございました。

 

次回は引っ越しなどの後日談や、細々としたネタを書くので、また気が向いたら読んでいただければと思う。