ろこのかたこと

たまに役者をやる会社員の日常

ひとり暮らしドルオタ女が中古マンション買ってリノベするまで#12最終回

中古マンションを購入し、リノベーションした我が家に移り住み始めて、1ヶ月が過ぎようとしている。

転居に伴う作業はほぼ終え、新しい環境にもだんだんと慣れてきた。

遂にダイニングテーブルも手に入れ、パソコンでの作業がものすごく快適になった。

というわけで、今回は後日談としていくつか小ネタを書いていこうと思う。

 

相見積もりを取らせろ

引っ越し業者の決定には、3か所から見積もりを取った。

リノベーション業者を決める時には具体的な見積もりを取らなかったので(既に過去の記事で書いているが、物件購入とリノベがワンストップの場合、相見積もりを取るのは難しいはずだ。十分理解した上での決断ではあった)、ある意味、反省を込めての行動だった。

見積もり依頼の電話をする段階で、各社ともに、電話に出た担当者に「他社と相見積もりを取るので当日即決はできません」と伝えておいた。というのも、以前の引っ越しで営業担当者に即決を迫られ、あまりの勢いに押し切られたことがあったからだ。

仮にA社、B社、C社とする。それぞれタイミングをずらして訪問見積もりに来ることになった。

最初に訪ねてきたのが、以前頼んだA社だった。「どんなに値段を下げられても絶対に即決だけはしないぞ」と心に誓って迎え入れる。

果たしてその営業担当者も、とんでもない押しの強さだった。来訪時、念のために再度「即決はしません」と伝え、承知していると言ったにもかかわらず、今この場で契約を取り付けようとゴリゴリに押してくる。

 

「まず、割引なしだとこのお値段になりますが」

溌剌とした青年は電卓を叩く。

「前回もご利用いただいたということで、勉強させていただいて、このお値段でいかがでしょう」

「わかりました。では、他社さんの見積もりと比較してお返事しますね」

「うーん、では、上司と相談させていただいてもよろしいですか」

「どうぞ」

電話の向こうの上司と何やら相談する様子を見せる。何が何でもその場で契約を取り付けて来いと言われている雰囲気もある。が、おそらくパフォーマンスだろうと思う。

「さらに、このお値段で、この場でお決めいただくことはできますか」

「いえ、他社さんとの相見積もりにしたいので」

 

このやり取りを、4~5回は繰り返しただろうか。話している最中にもどんどんと私の心の壁が分厚くなっていく。小一時間のやり取りで、私はすっかり疲れてしまった。

どんなに安かろうと、顧客の希望を聞いてくれないのは信頼性に欠けると思う。別に即決しなきゃいけないルールはないのに。そして当然こちらに担当者の営業成績を気にしてやる義理はない。

なんとかA社の営業にお引き取りいただき、その後に来たB社・C社と話をした。

B社は実にさっぱりとしていて、相見積もりの件にも「そのほうがいいと思いますよ」と言ってくれた。そのうえ、A社と同等にまでさくっと値引きしてくれたので、最終的にはB社に決めた。

C社はリサイクル業者でもあり、不要な家具を買い取ってくれる可能性があって見積もりをとった。しかし処分予定の家具にそこまでの値打ちがないため、おそらく自治体の粗大ごみ回収を利用したほうが安上がりになりそうだったので、やめた。

自ら相見積もりにしておいてこんなことを言うのもなんだが、お断わりの電話をするのは結構心苦しい。結果的にはいい判断ができたと思うので、やはり相見積もりは取るべきだと思った。

 

ハートフル・ムービング

引っ越し当日、B社から来た作業員の皆さんは、本当にいい人たちだった。

リーダーの方がとても気のいい人で、てきぱきと作業をしながらも、なんだかんだで私に雑談を振ってくるのだが

「お客様、収納上手ですね。今日僕たち、単身向けじゃなく大きめのトラックで来てるんですが、荷台が埋まりつつあります。この部屋にこれだけの荷物が収まっていて、しかも今日までに梱包し終わっているなんて、収納上手だし手際がいいですよ」

なんて話してくれた。

3人チームだったのだが、他の2人も明るいリーダーと時折軽口を交わしながら一生懸命仕事をしてくれた。引っ越し業者ならではの苦労話もいくつか聞かせてくれ、作業の間も楽しかった。

引っ越し業者にはきちんとした作業以上の物を求めているわけではなかったので、客として気持ちのいい時間になったのはありがたかったしお値段以上の事だったように思う。お礼の意味を込めてお茶を差し入れたが、安いものだ。

 

リーダーは、新居の様子を見て、驚いた様子で

「これ、全部ご自身でやったんですか?素敵な家ですね」

と褒めてくれた。私は咄嗟に

「いやいや、設計士さんがいて……」

と頓珍漢な答えを返してしまったが(当然、相手も私が全部DIYでリノベしたとは思っていなかっただろう。ヒロミじゃあるまいし)、苦労して手に入れた新居を褒めてもらえたのが素直にとても嬉しかった。

いろいろと思い出に残った引っ越しだった。

 

手続きあっちこっち

新生活スタートから数日後、夏休みを取って手続き巡りをした。

市役所、警察署、郵便局、銀行、そして法務局。それぞれの窓口の待ち時間で、思いつく限りの通販サイトやWEBサービスの住所変更をしまくった。

この時期ならではのこととして、新型コロナワクチン接種券の差し替えがあった。旧住所で交付されていた券は、転入後の役所で回収され、後日差し替え分が郵送されてきた。

あと、こういう機会じゃないとやらないなと思って遂にマイナンバーカードの交付申請もした。住所が変わると面倒だからこれまで避けてきたが、今後しばらくは引越しもないのでちょうどいいと思い、転入の窓口で申請を決めた。ほぼすっぴんで写真を撮る羽目になったのは計算外だったが、案外悪くない表情で撮れた気がする。(指名手配犯みたいな証明写真の身分証を使い続けるのだけは避けたい。)推しとのツーショで訓練したおかげかもしれない。

 

住民票の異動など、大抵の手続きは引っ越しのたびにやっているので慣れたものだが、問題は法務局だった。

マンションの登記内容のうち、所有者の情報を新住所に書き換えなければならないのだが、普通に司法書士に頼むと手数料だけで数万円かかるので、なんとかして自分でやってしまいたい。しかし書類の書き方を見ても、知識不足で、注意書きが何を言っているのかさっぱりわからない。

悶絶しながらも、電話で法務局に問い合わせながら、なんとか届出書を作り上げた。手数料も意外と高いので(所有している土地や家屋の数で決まる。私の場合は6千円した)郵便局で買った収入印紙を張り付けるのもかなり緊張した。

窓口で届出書を提出したところ、3か月以内に再度来局するようにと言われた。手続きが完了した旨の書類をもらう必要があるのだという。不備がある場合は2週間くらいのうちに連絡が来るとの話だった。

いつ連絡が来るかと心の隅でほんの少しだけびくびくしていたが、無事手続きは終了し、内容が書き換わった登記事項証明書を取得することができた。どこに出すわけでもないが、記念に手元に取っておく。

かなりの達成感。証明書はまるで勲章のように見えた。

 

新居正直レポ

新居でのお気に入りポイントは、やっぱり壁紙の色だ。

うっすらグレーにして大正解だった。眩しくなく、だからといって暗くもなく寒々しいわけでもなく、実にちょうどいい柔らかさをもった雰囲気になった。

 

それからキッチンの広さ。

作業場も広いし、幅広めの笠木がカウンター風で使いやすい。収納力も申し分ない。食洗機を深型にしたおかげでフライパンまでしっかり洗えて、もう元の生活に戻れる気がしない。最高である。

 

玄関を広めに作ったのもかなり快適だ。特に来客時に玄関が広いと動きやすいのでいろいろと助かる。(今はほぼ機会がないので残念だが。)

 

リビングの床の一部を仕切って、インナーバルコニー風にしたのもよかった。ベランダに出るためのサンダルを屋内に入れているので、雨ざらしになることなく、不快感がない。また、悪天候時にはとてもスムーズに植木鉢をしまうことができる。

 

逆に、ちょっと要らなかったも、というポイントは洗面所のフロント照明。ダウンライトの他にもうひとつ、正面の鏡の上についているのだが、ほぼ点けない。これの削減でいくらかコストダウンできたかも、と少し思ってしまう。

 

ウォークインクローゼット内の稼働棚が奥行40cmあるのは正直大きすぎたかなと思っている。主にアクセサリーを置いたりして使っているので、30cmくらいでよかった気がする。まあでもこれは今後の使い方次第だろう。

 

それと、新生活にカーテンは最初からあったほうがいいと思う。東側にある寝室のカーテンをケチって初動でそろえなかったおかげで、2~3週間、朝4時半に起床する生活を余儀なくされた。いくら私が朝型とはいえ、ちょっときつかったので、今はカーテンボックスに布団カバーを養生で張り付けて日よけにしている。いや早く買えという話だが。

ダイニングテーブル然り、引っ越しで一旦貯金がほぼゼロになった状態から、なんとか捻り出したお金で少しずつ身の回りの物を集めていっているので、「今月〇時間残業したからカーテン1枚ゲット!」みたいなクエストをこなす気分で生活している。美味しいもの食べたいし推しのサインも欲しいのに、なんという崖っぷち。とにかくこの自転車操業を脱するのが今後の目標である。

 

お金はないけど、後悔も一切ない。

居心地のいい部屋で暮らせる生活に、やってよかったなと心から思う。

家を買うの早くない?結婚諦めたの?と言われることがないわけではなかったが、私としては、「家買ったら○○できないと決めつけるのはナンセンス」だと思う。私の人生これからどうなるのかわかんない、ぶっちゃけ無限の可能性があるので勝手に選択肢を潰さないでほしい。

一連の出来事を通じて、自分の人生は自分で楽しくしていかなきゃいけないんだなとつくづく思った。それは私みたいに家を買うのでもいいし、趣味でもなんでも、どんな小さなことでもいい。ただ、楽しい毎日は誰かに提供してもらえるのを待っているよりも、自分で掴みに行ったほうが手っ取り早い。

世の中うまくいかないことだらけなので、逆に、何なら自分の思い通りにできるのかを見つけて、出来る限り実現していったほうがいいんだろうな、と思う。

 

さて、いろいろと書いてきましたが、これで本当のリノベブログ完結となります。

次からはまた雑感を綴るブログになるかと思いますが、気が向いたらぜひ読んでやってください。

改めて、お付き合いいただきありがとうございました。