ろこのかたこと

たまに役者をやる会社員の日常

ひとり暮らしドルヲタ女が中古マンション買ってリノベするまで#8

ゴールデンウィークは久々に「なにもない」休日を過ごしており、時間の流れをこの上なくゆっくりと穏やかに感じている。

というのもここ最近は毎週末、要かつ急の打ち合わせが続いており、その度に脳みそを絞り上げ、くたくたになっていた。

リノベーションの設計打ち合わせは、私にとってかつてない自由の体験であると同時に、ありとあらゆる制約との戦いでもあり、楽しくも苦しくもあった。

 

リノベる。では基本的に設計打ち合わせを全4回としている。

私の場合は、各回3時間前後だった。

回数自体はリノベ会社ごとに差はあれど、設計にかけられる期間はどの業者でも同じと言って差し支えないと思う。というのも、物件の売買契約から住宅ローンの融資の実行までの約一ヶ月半~二ヵ月のうちに設計をまとめ、物件を正式に購入したあと速やかに工事に移るためだ。あまり設計に時間をかけていると、現在の家賃とローンの二重払い期間が延びてしまう。

私は優柔不断なところもあるので、この4回というのをネックに感じていたのだが、結果的には問題なかった。

 

まず打ち合わせを行う前に、請負契約があった。動画と書類で説明がなされ、電子署名で締結した。こういう場面で自分がしっかりしないと、誰もしっかりしてくれない。きちんと隅々まで読み込んで、不明点を解消してから契約を行った。

打ち合わせの各回でどんなことを話したのか、追って書いていく。

 

第1回 現地調査報告、概要の決定

設計担当者との顔合わせから初回が始まった。設計担当者もおそらく同世代で、話しやすそうな雰囲気に安心した。

営業担当者と物件担当者も同席し、進行していく。

まずは工事から引き渡しまでのスケジュール確認から始まった。

後から知ったのだが、物件購入までと工事、引き渡しで全体のスケジュールが2部制になっていたらしい(不動産部門と建築部門といったところだろう)。

ここから第2部ですよということで、改めて今後の流れの説明がなされたわけだ。

 

次に、設計担当が事前に行った現地確認の報告を聞いた。

現在の部屋の仕様を確認し、どんな工事が可能なのか、問題点なども含め洗い出していく。

たとえば今回の場合、外側の壁に断熱材が使用されていたため、無理に剥がさず既存利用が推奨された。壁の躯体表し(壁紙を貼ったりせずコンクリート剥き出しにすること)などはできないが、部屋の快適さを保つためにも断熱材は生かしたほうがいいという判断だ。

また、給排水管の位置も確認されており、トイレやキッチンの移動がどれくらい可能なのかも説明された。

 

それから、私の生活スタイルや設計への要望のヒアリングがあった。

以前、コーディネーターである営業担当に提出したシートを活用し、設計担当に詳細を伝えていく。ドルオタ趣味の説明を再度する私。具体的にどのような応援をするのか説明せざるを得ない私。「休みの日にDVDを見たり…しますね…」初対面の人に話すのさすがに照れた。

それらを踏まえ、プランの概要を練った。

目の前で設計士が細やかな線を引いていく様は実に面白かった。あらかじめいくつか案を練ってきてくれていたようだが、それは敢えて出さずに、アドリブで図面に書き加えていく。

当然のようにダイニングと隣接する部屋をぶち抜き、玄関の土間を広く取り、洋室をクローゼットにする案ができた。同時に、回遊式の家事導線を確保する。寝室は東側の部屋をひとつ既存利用することになった。

個人的に熱望していた壁面本棚については、予算上無理だと言われてしまった。

最初は「そうか。お金がないのに無理を言っても仕方ないな」と引き下がったのだが、営業担当者が可動棚の設置を提案してくれた。もう少しわがままを主張していいのだと、はっとした。そこで事前に用意していた2種の施工例(他社の物ではあったが嫌な顔はされなかった)を提示し、

「私が石油王だったらこういうのがやりたいんですけど、こんな感じの簡単な棚があれば十分嬉しいです」

などと伝えたところ、それならばと実現可能な範囲に落とし込んでくれることになった。

あまりにも無茶なことを言ってクレーマー紛いになるのは避けたかったが、かといって希望を伝えなければ満足度は上がらない。おそらく私と設計担当者の2人だけで話を進めるとなると、互いに遠慮や固定観念が邪魔をしてうまく案が出てこなかったのではと思う。煮詰まりかけたときに営業担当者が風穴を開けてくれることが少なくなかった。

 

まずは入り乱れた線をきれいに図面に起こして、次回詳細を練ることになった。

 

更にもう一つ、大切なこととして設計から引き渡しまでの注意事項の説明があった。

請負契約をもう少し噛み砕いたような内容だった。リノベーション工事はマンションの性質によってできる工事とできない工事があるので希望通りにいかないこともありますよ、とか。ご近所トラブルが起きたら一緒に解決してくださいね、とか。工事開始までに電気と水道開通させておいてくださいね、とか。

これについてはその場で要点を読み合わせた上で、詳細を確認し不明点があれば次回質問するようにと言われたので、持ち帰った。正直、忙しくて契約書ほどに細かく読み込むことはできなかった。結果として問題はなかったが、注意事項系の確認を端折るのは本当よくないと思う。何かあってからでは遅い。

 

 第2回 プランの調整、電気系統図、住設の打ち合わせ

 

初回で話し合ったことが図面になって提示されたとき、感動を覚える反面、まだもやもやした気持ちがあった。

まず、段差が多かったこと。ウォークインクローゼットの収納が少ないこと。ドアが既存利用とされていたこと。可動棚の位置がダサかったこと。

それらを注意深く適切な言葉を探して伝えながら、改良していく。広かった土間を半分にして(それでも広いが)その分クローゼットを広げた。ドアはなるべく付け替えたかったので、いったん付け替える方針で見積もりをお願いした。

マンションのリノベーションでネックになることの一つとして配管位置がある。水道やガスの配管がどこにどう通っているかで、設備の位置の自由度が決まる。必要なパイプスペースなどは解体してから初めて具体的にわかることもあるので、設計通りにはいかないこともしばしばだという。

私の場合も、配管が水回りにできる段差の高さに関わってくるようだった。トイレの向きやキッチンの位置を調整し、なるべく低く収まるようにした。

 

それから、電気系統図の打ち合わせも行った。家中のどこに照明をつけて、スイッチをどこに配置して、コンセントをどれくらいつけるか。

一番の感動ポイントは、玄関の人感センサーがデフォルトだったことだ。ハイテクすぎやしないか。

ダイニングの照明にはペンダントランプを吊るしたいと思っていたので、購入予定の物を見せてプランに組み込んでもらった。広告で見つけた輸入品のランプ。今ごろ、どんぶらこと海を渡っていることだろうと思う。

また、そのランプを主役にすることを想定して、玄関の照明のデザインを選んだ。リノベる独自のサービスで、自分で好みのテイストやデザインを模索できるシステムがあるのだが、それの結果で候補となった数種類のうちから選択する形だった。

その場ではいったん決めたものの、後日別の物に変更した。変更のお願いは、リノベる独自開発のメッセージアプリで打ち合わせ時間外に伝えることができた。この辺りがフレキシブルなので全4回で間に合ったと言えるだろう。

 

そしてキッチンやユニットバス、トイレといった住宅設備について、主なブランドを3社ほど見繕って方針を決めた。

次回打ち合わせまでの期間でショールーム巡りをし、各社から見積もりをとってくる使命が課された。

ショールーム巡りも実に楽しかったし思い出深いので、別の記事で書こうと思う。

 

第3回 概算見積もり、仕様の詳細の決定

 

この回が一番苦労したといってもいい。

なにしろお財布との激しい殴り合いなのだ。

前回までの内容を踏まえ、概算見積もりが出されたところ、当然のように予算をオーバーした。おおよそ100万円の超過。これをいかにして削っていくかが焦点となる。

まず犠牲になったのはドアだ。リビングに入るメインのドア以外は既存の物を使うこととになった。目立った傷はなく、もともと木目調なので、激しく浮くことはないだろうということで自分を納得させた。

次に可動棚。もともと2面に配置する予定だったが1面を中止。クローゼット内の棚も減らした。

それからショールームから取り寄せた見積もりをもとに、住設のメーカーを決定。基本的に一番安いものを選んだが、キッチンだけはわがままを通して一番高価なものにした。デザイン重視でありつつ、食洗機も問答無用で深型にした。

更に、ユニットバスのパーツのグレードを下げたり、フローリングを貼る範囲を減らして塩ビタイルにしたり。あらゆる角度から検討していく。

見直しポイントについては設計担当者からも提案があったが、すべてを吞んだわけではない。トイレの既存利用など、嫌なものにはきちんとNOを伝えて、極力満足度を下げないようにぎりぎりのラインを模索した。

この回から、設計のアシスタントさんも入り、全部で4名のチームとなった。私も施主という立場ではあったが、話していくうちに、ひとつのプロジェクトを一緒に作り上げる同僚のような感覚になっていた。

アシスタントさんの功績もあり、最終的に予算プラス20万程度のところまで下げることができた。物件購入の頭金が融資の実行と共に手元に戻ってきているので、20万程度の持ち出しになら耐えられると判断し、話をまとめてもらうことにした。

また、次回仕上げの打ち合わせを行うため、資材の候補を決めた。床に貼りたいフローリングや、水回りのタイル、ドアの色見本等だ。直観で好みに合うものを矢継ぎ早に指さしていく感じだった。

打ち合わせは各回3時間程度かかっていたが、この回は3時間半超に及び、退室時にはげっそり。めちゃくちゃに疲れた。

 

第4回 図面、資材のfix

 

第3回の殴り合いの結果を図面に起こしてもらった上で、仕上げ部分の決定を行っていった。

この時の様子がいかにも「打ち合わせ」っぽい雰囲気だったので、写真を撮らせてもらった。

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色々カットしたら良くわからない写真になったが。

よく言われる、リノベーションの工程で「一番楽しい」時間である。

前回打ち合わせで挙げた候補に足して、メッセージアプリで伝えた追加候補、以前から希望していた水回りに使用するタイルなど、取り寄せてもらったサンプルを眺めながら、詳細を詰めた。

床も、資材の貼り方ひとつで部屋の印象が変わる。例えば私は寝室で長く過ごすことはあまりなく、ほとんどリビングで活動することを想定しているので、寝室はあくまでもリラックスすることを考えて、なるべく広くゆったりとした印象になるよう床用タイルの向きを決めた。他にも導線ごとに同じ種類の色違いで区切ったり、いろいろと工夫を凝らした。

ちなみに、洗面所に使用するタイルは施主支給品だ。すなわち、私が直接発注して納品する。リノベ業者側で発注するとどうしても手間賃がかかるので、施主支給にすることはコスト削減にも繋がる。タイルはそれこそ無限にあり、設計担当者としても提案は難しく、インスタやピンタレストなどで自ら施工例を探し、気に入ったものを業者に取り付けてもらうという方法は、いろんな意味で効率がいいのだ。

他にも、トイレのペーパーホルダーなど、細々とした部材は施主支給にしているので、リノベ業者の出した見積もり以外に数万円プラスで実費がかかることになる。しかしながら結果として安く満足度を上げることができる裏技みたいなものである。

 

設計については概ねうまくまとまったが、今後の流れの説明で少々問題が発生した。

リノベ工事費の決済が終わってから引き渡しを行い、数週間後に引っ越しができるようになるのだが、日程の兼ね合いがとれるか不安が生じたのだ。

請求書が出てくるタイミングがここで判明したため、金融機関で事前に話していた決済の予定とずれることになり、諸々考えていたスケジュールと嚙み合わない!と焦ってしまった。これについては平日に金融機関に問い合わせて無事解決した。

また、隣近所へ工事前の挨拶まわりを行ったことが事後報告され、私も同席することになっていたし行く気も満々だったので困惑した。ただ、ほとんどの家が留守だったとのことだったので、再度伺ったほうがいいと申し出て、着工前に念押しで挨拶まわりをすることにした。設計担当者になんとか都合をつけてもらい、施主・設計担当者同席のもとで無事に挨拶を済ませた。

大なり小なりアクシデントがあった場合、真っ先に「聞いてないよ!」という気持ちになるので、私は本当にホウレンソウがされていないと嫌な気質なんだなと自覚させられた。

 

以上が設計打ち合わせの流れだ。

なんたってひとり暮らしである。最終的な決定権は全部私にある。良くも悪くも。

悩ましいながらも、噂のとおり楽しい時間だった。

次の工程はいよいよ工事着工だが、ブログ記事としては先にショールーム巡りのことを書いておきたい。