ろこのかたこと

たまに役者をやる会社員の日常

ひとり暮らしドルオタ女が中古マンション買ってリノベするまで#6

今回は物件探しの顛末を書こうと思う。

(身バレ防止のため、具体的な情報は適宜変えているのでご容赦願いたい。)

 

前回も多少書いたが、私の場合、物件探しはエージェント制だった。

埼玉の某鉄道沿線で、駅近、50平米以上、2階以上、ペット可…

希望の条件を入れると、だいたい30件程度がヒットする状況。業者巡りの段階から、それほど無茶な希望というわけでもないと思います、と言われてはいたものの、本音を言えばもう少しわがままな条件は胸の内にあった。

それでもエージェントに依頼をしたその日、希望に限りなく近い条件の物件の情報が出ていたため、これを第1希望として、いくつか候補を出してもらうことにした。

「リノベる。(リノベーション業者)」の場合、物件担当者が事前にマンションの重要事項についての資料を取り寄せて、問題がないかどうかを確認し、結果を報告してくれる。可能であれば事前内見もして、やりたい工事が可能かどうかもチェックしてくれる。その上で最有力候補の内見に行くので、買い付けの決断が速やかにできるという話だった。

私は待つだけではあったものの、気になって日々不動産サイトをチェックしていた。そもそも間取り図を見るのは結構好きなので、苦ではなかった。

 

依頼をして、約2週間。

調査結果の第1弾が届いた。

リストにあがったマンションは7件。その中に、例の第1候補はなかった。

条件が良かったから、売れてしまったのか――

残念に思っていると、担当者からの説明があった。

 

概要はこうだった。

集まってきた情報の分析からすると、今回の7件のうち、買う価値があるのは2件。他の5件は避けたほうがいいと考えられる。

2件についても、希望を全部叶えているとは言えないため、慎重に検討すべきである。

第1候補だった物件については、不動産会社からのレスポンスが鈍く、今回の調査結果には反映できなかった。引き続き資料の取り寄せ等していく予定である。

 

ふむ……と私は結果リストを眺めた。

まず、リストの充実ぶりに驚いていた。

価格や管理費、修繕費に始まり、築年数や耐震基準などの基本事項はもちろんのこと、メリット・デメリットや管理会社の借入状況等にいたるまで、詳細なデータが縦覧できるようになっている。

例えば平米数が少ないと、窮屈なだけではなく住宅ローンも通りにくい。

マンション規模に対して修繕費が安すぎても懸念事項となる。備えが足りないと将来的に急な請求があったりすることも考えられる。

そういった点まで考察され、事細かに赤字が入れられていた。

 

私が日々チェックしていた中で、これは有力候補かもと思っていた物件も、この段階でことごとく対象から外された。内見の手間がどんどん省かれていく。

 

有力候補とされた2物件について、1件は私がむしろ避けたいエリアに該当したので却下した。

もう1件についても、第1候補の調査結果を待ってから考えたい。そう思って担当者に返事をした。

 

数日後、第1候補についての続報があった。

依頼日に見ていた物件については、案の定、既に買い手がついてしまったそうだ。そのために不動産会社からのレスポンスも遅かったのだという。

しかし同時に、同じエリアでほぼ同条件の物件が売りに出たという話も入ってきた。

そんなことある?!――いやない。これはまあまあすごい奇跡だ。

この機会を逃す手はない。早速、私とリノベーション担当者・物件担当者・不動産仲介業者の4人で内見に行くことになった。

 

当日は快晴で、2月とは思えないほど暖かな日だった。

茶店で担当者と落ち合い、爆速で集めてもらった対象物件の調査結果を見る。

 

端的に言ってほぼパーフェクトだった。

広さ、築年数、駅徒歩、—―申し分ない。

唯一の欠点は、管理費・修繕費が平均より少し高めであること。しかしそれも、住人が会議で決めているようで、長期的な維持計画に基づいて必要な額と認められたものであるため、むしろ安心材料といえた。

ランニングコストがかかるのは戸建てとマンションの比較で挙げられるデメリットだが、「マンションは管理を買え」というのもよく言われることである。

 

あとは、売主がまだ入居中で事前内見ができていなかったため、実際に中を見て工事ができない構造でないかが心配だった。

それから、私より早く買い手がついていないかどうか。

これほどいい条件なのに買い逃したら凹む!

そう言ったら「その時は私たちも凹みます」と笑ってくれた担当者の存在が心強かった。

 

物件のエントランスで、不動産会社の担当者と落ち合う。

名刺をいただいたところ、支店の所在地が私もよく知っている場所だったので、地元トークで盛り上がった。

はやる心をなんとか落ち着けようとする。が、しかしマンションの作りがなんかもう既に思っていたよりおしゃれで緊張が高まる一方だった。

遂に約束の時間が来て、呼び鈴を鳴らし、中にお招きいただく。

売主さんに迎えられて部屋に上がると、図面で見た場所が実体として目の前に立ち現われ、当たり前のことだが不思議な感動をもって迫ってきた。

 

引っ越し作業でお忙しい中、キッチン、風呂場、洋室と、順繰りに見せていただく。

正直言って、フルリノベーションで壁も天井もぶっ壊すので、中身について私自身はさほど気にすることはなかった。配管が通るパイプスペースの位置など、工事に関する部分は物件担当に任せておく。

私が見るべき大事なチェックポイントは眺望と、共用部の管理状況である。

広い窓からやわらかい日がたっぷりと差し込む。ベランダから外を見せていただいたとき、すぐそばに大きな木があった。

「あれは桜です。」

売主さんからそう言われたとき、購入を決めた。

家のベランダから桜が見られるなんて、リノベーションでは叶えられない、最高のメリットだった。

もちろんその他の共用部についても何ら問題はなかったので、あとは近隣の住人の様子などを聞かせていただいて、よくよくお礼を言って内見を終えた。

 

緊張が解け、どっと疲れたが、興奮をエンジンにしてそのまま再度喫茶店へ移動した。

物件担当から内見時にチェックした項目の報告を聞く。概ね問題はなさそうだった。

それから、仲介業者から今後の流れの説明を受けつつ購入の申込書を書いた。法的な拘束力はないものの、仲介業者が売主に説明をする際に使うものとのことだった。

 

しかしここでネックとなったのが、私の資金不足である。

物件を購入する際は、手付金というものが必要になる。

これはローンに組み込むことはできず、この時代でも、現金払いである。

通常は物件価格に対して5~10%の金額が相場だが、私の用意できる軍資金は僅かに足りなかった。

言い訳をさせてもらうと、物件を買うまでこんなにトントン拍子に行くと思わなかったのだ。なんなら当初は、次のアパートの更新までの2年で必要な資金を貯めようと計画していたのである。

計画が、繰り上がったんだ。(CV.喜安浩平

 

この点については、仲介業者もさすがに困った顔をしたが、私とリノベ担当者がそろって頭を下げて(すみません)どうにか交渉をお願いした。売買契約時に一般的に必要となる売主の責任事項を一部免除する方向で交渉できないかと掛け合った(リノベーションで解決できるものなので、免責となっても私にデメリットは少ない。)。

仲介担当者は、なんとかお話してみますと承諾してくれた。申し訳ない……。

そして結果として、無条件で売主さんの承諾を得てくれた。本当にありがとうございます……。

OKの連絡を受けた時は本当にほっとした。

売主さんとはその後つつがなく物件売買契約を行い、いま私の手元には契約書類が詰め込まれたずっしりとしたファイルがある。

 

これを読んでくれている方にひとつ声を大にして伝えておきたいのは、

「初期費用0円でも中古マンションが買える」

というのは、「今現在の貯金額が0円でも買える」という意味ではないということだ。

私は何となく、そういう意味だと思っていたけれど、必要となるお金のすべてをローンに組めるわけではない。

手付金と、基本的に諸費用(仲介手数料や登記費用など)は現金払いなのである。(諸費用はローンに組めることもある。)

買いたい物件の相場にもよるので一概には言えないが、最低でも100~200万円くらいは貯金があったほうが動きやすいと思う。ぜひ参考にしていただきたい。

お前100万もなかったんかいというツッコミはもう足りているので優しくしてください。

 

じゃあ初期費用0とは何かというと、おそらく諸費用や購入資金を全額ローンに組むことができるので実質0よ、という話だと思う。

手付金については、金銭消費貸借契約(住宅ローンの契約)を行い、決済をすると、物件価格分のお金がドカンと口座に入ってくる。売主側には物件価格分-手付金の残金を一括で支払うので、手付金分が手元に「戻ってくる」。

このあたりは買い方にもよるのだと思うが、私は物件価格まるごとローンで返済するので、結果としてそうなる。もし十分に貯金があって、「初期費用」が用意できるのであれば、手付金はそのまま購入費に充当するやりかたもあるのだろう。

多分これめちゃくちゃ当たり前のことを書いているんだろうけど、そういうことこそが意外と素人にはわからないんだよなあ……と思う。

 

次は住宅ローンの本審査と、リノベの設計打ち合わせに入っていく。

打ち合わせはリノベーションの醍醐味なので、存分に楽しんでやるつもりだ。